平成18年度事業計画
(平成18年4月1日〜平成19年3月31日)
 
概 説
 放送通信業界にとって大きな動きとなる完全地上デジタル放送化を2011年に控え、まず今年度より開始される携帯電話によるワンセグサービスは、携帯電話が最も身近なブロードバンドツールとなることが予想され、それに係る音楽配信や動画配信は通信手段の中でも進化を求められる分野のひとつであり、より高機能化や双方向サービスなど広範囲な技術革新が求められる。同時に、その技術革新に伴い発生するであろうコンテンツの著作権問題についての提言も必要となっていく。
 16年度より当振興会が開始した、音楽テレビ番組の制作過程において、改めて認識することができた制作者側と視聴者側で発生する問題点・改善点については、今後も継続して調査・研究を行ない、制作者側と視聴者側の理解と共有意識をより深め、質の高い放送・通信の実現を図っていく。その一環として、今年度から、FMラジオを通じての調査・研究も開始する。
 当振興会は設立より基本理念のひとつに人材育成を掲げて来たこともあり、今後も学校放送ネットワーク事業への協力・貢献を継続し、生徒達が学校放送に携わることによりブロードバンドへの関心を持ち、放送・通信による社会貢献思考を持てるよう、貢献していきたいと考えている。
 本年度の当振興会は、昨年に引き続き以上のような考えのもと、放送・通信が我が国と国民にとってどのような役割を果たせるのか、そして、提供者と利用者双方の視点から、より豊かな文化・生活に発展していくよう諸事業を推進していく。
 
事業計画
1.ブロードバンド社会における通信・放送のあり方に関する調査研究
  本年度より開始するワンセグサービスを含め、テレビ番組放送と同時にインターネットによる関連情報の発信、視聴者との情報の同時やり取りといった、テレビ番組とブロードバンド番組の融合の実証実験を、実際のテレビ番組と連携しながら実施する。
  具体的には、東京メトロポリンタンテレビとの提携により、平成16年より開始した音楽テレビ番組「INDIES A−GO GO」の制作に関わることにより、制作者と視聴者との情報発信受信の状況について今後も調査・研究を進めていく。
  また同番組をFMラジオ局にて放送することも検討し、テレビ、ラジオ、インターネットを通じての連携も図る。
 
2.全国学校放送ネットワーク活動の支援
  メディア教育の基盤として「校内放送」を捉え、その機能を十分に活用することで情報教育の方法論の確立を目指す。その為に各校が独自に実施している校内放送をネットワークして、教職員レベル/生徒レベルでの意見交換・情報交換を促進し、有効な情報教育環境の早期実現を図る。
 
3.携帯電話による音楽配信及び楽曲使用に伴う権利調査研究
  NTTドコモにおいて提供開始した携帯電話のリングバックトーン・サービスに関し、音楽事業者の立場で参画し、音楽著作権等の問題処理に対処していく。
  同様に、携帯電話における新サービスに関連して発生する可能性のある音楽著作権等の問題処理に対処していく。
 
4.携帯電話におけるコンテンツの提案
  昨年、携帯電話における動画付き音楽コンテンツのひとつとして実現したDANCE ONをベースとし、より多目的なコンテンツが実現可能方法を検討・実施していく。
【DANCE ON】
第一興商の「うた・動画・着信メロディサイト メロDAM」にて提供。携帯電話において着信を受けると、音楽と共にダンサーが踊るシルエットが動画で表示される。
 
5.携帯端末のステレオサラウンド化
  携帯電話端末でのステレオサラウンド化技術開発(大阪大学大学院)が、ほぼ実用段階に至っている。このような技術開発は、音楽文化のより一層の進展を促す一端でもあり、当財団も支援・提携が図れるよう模索し、普及のための調査研究を行ない、実用化の具体的方策を提案していく。
 
以上