平成17年度事業計画
(平成17年4月1日〜平成18年3月31日)
 
概 説
 高度情報化社会の根幹としての役割を果たしているブロードバンドにおいて、インターネット、モバイル通信、データ放送利用による音楽配信や動画配信は、今や更なる進化を求められているところである。昨年はプロ野球チームの編成において複数のIT企業がオーナーに名乗りを挙げたこともあり、ますます放送・通信市場への注目が集まり、その拡大が期待されている。特に携帯電話はブロードバンド社会を大きく変革するツールであり、広範囲な技術革新への貢献はもとより、技術開発に後手にまわりがちな著作権の保護についての提言も進めていく。
 昨年より当振興会が開始した、音楽テレビ番組の制作作業過程において、改めて認識することができた制作者側と視聴者側で発生するさまざまな問題点・改善点について、それぞれの立場から調査・研究を継続し、より質の高い放送・通信の実現を図っていく。
 当振興会が設立より基本理念のひとつとして掲げ、また政府指針でもある人材の育成に貢献する目的を果たす為、学校放送ネットワーク事業への協力も重要と考えている。学校放送を通じて生徒各人が放送・通信、ブロードバンドへの関心を持てるように工夫をし、主体的に社会貢献意思を持てる人材へと促せる学校教育の一端を担えるよう展開していきたい。
 本年度の当振興会は、昨年に引き続き以上のような考えのもと、放送・通信が我が国と国民にとってどのような役割を果たせるのか、また、提供者と利用者双方の視点からより一層の充実を図るべく、諸事業を推進していく。
 
事業計画
1.無線インターネット・ブロードバンド時代到来に備えた調査研究及びその実施
  平成15年度より実施している無線インターネット・ブロードバンド時代における放送・通信関連コンテンツの充実に関する調査研究を推し進めると共に、同時に派生する各種サービスやコンテンツにおける著作権上の問題についての調査研究をより進めていく。
  今後の無線インターネット・ブロードバンド・コンテンツとして中心となる動画配信に関し、ブロードバンド上での動画コンテンツの実現に向けて、その可能性・方向性に関し、より実現可能な方法を検討・実施していく。
 
2.ブロードバンド社会における通信・放送のあり方に関する調査研究
  通信・放送の融合時代を見据えつつ、テレビ番組放送と同時にインターネットによる関連情報の発信、視聴者との情報の同時やり取りといった、テレビ番組とブロードバンド番組の融合の実証実験を、実際のテレビ番組と連携しながら実施する。
 
3.全国学校放送ネットワーク活動の支援
  メディア教育の基盤として「校内放送」を捉え、その機能を十分に活用することで情報教育の方法論の確立を目指す。その為に各校が独自に実施している校内放送をネットワークして、教職員レベル/生徒レベルでの意見交換・情報交換を促進し、有効な情報教育環境の早期実現を図る。
 
4.携帯電話による音楽配信及び楽曲使用に伴う権利調査研究
  NTTドコモにおいて提供開始した携帯電話のリングバックトーン・サービスに関し、音楽事業者の立場で参画し、音楽著作権等の問題処理に対処していく。
【リングバックトーン・サービス】
電話をかけた際に自分の受話器から聞こえる呼び出し音に、呼び出し相手の登録した音楽が流れる仕組み。通称「メロディコール」。
  同様に、『着うた』・『着動画』といった、携帯電話における新サービスに関連して発 生する可能性のある音楽著作権等の問題処理に対処していく。
 
5.インディーズレーベルに関する著作権
  近年、注目を浴びているインディーズレーベル音楽に関し、音楽市場の更なる拡大に向けてその情報発信を進めていくとともに、新規注目分野であるがために、ややもすると疎かになりがちなインディーズ業界における音楽著作権等整備・確立を健全に進めていくべく、音楽業界に対し適切な助言、提言を行っていく。
  東京メトロポリンタンテレビとの提携により、平成16年より開始した音楽テレビ番組「INDIES A−GO GO」の制作に関わることにより、アーティストに近い現場での著作権に関する問題点への助言やアドバイスなどを行い、音楽業界における適切な楽曲管理を推し進め、また制作者と視聴者との情報発信受信の状況について今後も調査・研究を進めていく。
 
6.韓国音楽文化事業関連
  日本楽曲解放後の音楽・放送文化交流のためのライブホールの設立。
日本音楽の開放が始まり、韓国内でそれに連動する形で、ライブホールの設立が進められている。当財団では国際交流の推進の立場より、先方の依頼に基づき、設立運営ノウハウ及びその後の日本アーチスト出演等に関する助言、提言等を行なっていく。
  インターネット電話(次世代IP電話)に関し、韓国国内で既に実施されているブロードバンドを使用したテレビ電話網について調査、研究を実施し、次世代IP電話網を利用した音楽・放送サービスの可能性等につき、提言を行なっていく。
 
7.携帯端末のステレオサラウンド化
  現在、携帯端末のステレオサラウンド化技術開発が進められ(大阪大学大学院)、ほぼ実用段階に至っている。このような新機能が始まることにより、音楽文化がより一層の進展をみるべく、普及のための調査研究を行なっていくとともに、実用化の具体的方策を提案していく。
 
以上